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寄り道したっていいじゃない ~from Canterbury~
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親友から借りた「くちぶえ番長」を読んだ。あらすじはリンク先で。

実際は借りたとは言わないのだが、とにかく本を見せてもらった時、
同じブックカバー
だから何も考えずにかばんに入れてしまったらしい。
本当に何も覚えていないのが情けない。
そして許可なく読んでしまったので、慌ててお詫びのメールを打った。
申し訳なかった。この本は以前手にとってぱらぱらとめくった記憶があった。
きっと縁があったのだろう。

重松清、うまい。これはより多くの小学四年生に読んで欲しい。小学四年生とは「10歳」という二桁の年齢に達し、彼らなりに大人の世界に入り込んだのだという、一種の自信が心に芽生えるとても大切な年だ。漢字も多く読めるようになっているし、クラブ活動にも参加できる学年でもある。来年はクラス替えを控え、それなりに人間関係も気にしだす複雑な感情も芽生えているだろう。

今作ではすべてのストーリーに一つずつ、もしくは二つ以上、著者からのメッセージが主人公のクラスに転向してきた番長マコトとの触れ合いの中で書き出されている。

世に出回っている児童書は、一冊の本通し、いろんな味付けや重さを加えられた文章を読むことで初めて少年少女の心に著者が伝えたいたった一つの事=「芽」を出させる役目を果たすのだが、重松氏は違った。

無駄な飾りつけは一切していない。
ここまで直球であるのにいやらしく感じない。
それは読者の子供心を巧みに引っ張り出しているからであろうか、
少なくとも私は、自分の小学生時代を思い出しながらページをめくっていた。

主人公のツヨシやタッチやジャンボ、はたまたオツボネや高野さんが感じる子どもながらの恐怖心
(対ガムガム団や対自分コンプレックス)が大人にはもどかしく感じられても、
子どもたちにとっては一生(子どもはこの言葉が大好きだ)に関わる大問題で、
それが見事に描かれている。
たった一歳しか違わないのに、涙が出て体が震えてしまうほど怖くて仕方ないのだ。
身近にある文房具が子どもたちの武器となり、
それを受けた悪ガキは「おぼえてろよ~!」
なんて最近漫画から勉強したような台詞を吐いて逃げてしまう。
きっとまた公園で作戦会議を開くのだろう。
ヒーローとなった子どもはクラス全員から尊敬の眼差しで熱い握手を受ける
(これはかばんの思い出 笑)

とにかく、小学生は毎日が大冒険で、
ぼくらは、わたしたちは、どうしたら敵をやっつけられるのだろう、
どうしたら先生に怒られずにすむのだろう、
どうしたらあの子みたいに格好良くボールが投げれるのだろう、
あの子の隣の席になるには何番目にくじを引けばいいのだろう、
なんて必死に考えて、
算数のドリルをやって、
プールで消毒剤を拾って、
砂で濡れた手を乾かして、
奥から二番目のトイレは絶対使わなくて、
水道からコーラが出てこないかななんて考えながら水をガブガブ飲んで、
飛行機を見つけたら手のひらで捕まえてお願い事を言って、
待ち合わせの公園に行く時はあの道を通ってあの罠をチェックして、、、
小学生にじっとしている時間なんてないのだ!

あ~~~!!プリンが一個残ってるぜ~!!
伊藤が休んだからだろ~?せんせ~じゃんけんしてい~~い???

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「ホビットの冒険」トールキン作/瀬田貞二訳 ←Amazonへ

買ったのはいいが、半年ほど本棚で眠っていた作品。
イギリスに行くというのになぜ放っておいたのか、ばかちん、自分。
上巻を読むのは一週間ほどかかってしまったが、下巻は金土で読んでしまった。
今朝は目が覚めてからすぐに「指輪物語」を読み始めてしまった。

今まで読んだ中で(ずいぶん浅いが)最も古いファンタジー作品であったと思う。
いや、G・マクドナルドの「ファンタステス―成年男女のための妖精物語」が一番か。
両者に共通しているのは、やはり太古から存在する大自然が舞台であったこと。
深い霧が立ち込める森や轟々と音を立てて走る川、生物を脅かす炎を吹く山々。
そこに妖精や種族が生まれ、そこで彼らの世界が何万年にも渡って厳かに続いている。

現代のハリーポッターにもそういう描写は多々見られるが、奥深さが何十倍も違う。
まず、この二作品を同じ列に並べてしまうのはいかがなものか。
二日ほど前から「Harry Potter and the Order of the Phenix」を読んでいる。
本当にファンタジーが好きな人(指輪物語やナルニア国など)にはあまり好まれない作品であるが、
自身がイギリスを好きになったきっかけがハリーポッターなので、
あまりとやかく言うのは控えようと思う。
(作品を読み進めるうちに、翻訳が好きではないのに気が付いたのもある…
高校生の頃は夢中になって読んだのに)。
また、こちらはやはりエンターテイメント性がかなり強い作品なので
決して真のファンタジーとは言えない。

話は飛んでしまったが、
この物語の主人公であるホビット族のビルボ・バギンズは何とも言えない魅力がある。
お人よしで臆病でずる賢い面も持ち合わせている。
一方で強い生命力を兼ね備えた勇気に溢れ、
回転の速い頭で次々と困難を希望に変える能力を持っている
(悪い方向に向かうものの方が多いかもしれないが)。
葛藤がありながらも自身を奮い立たせて仲間を助ける姿は思わず笑ってしまう場面もあった。
物語は彼が魔法使いガンダルフと13人のドワーフ小人に誘いに出され、
竜に奪われた宝を取り返しに旅立つロードストーリー。
前半に指輪が登場するが、ここでは物語の要として語られておらず、
あくまでビルボと仲間たちが宝を取り戻し、
家路に着くまでの胸を躍らすさまざまな冒険が繰り広げられている。
細部にまで手を出してしまうと引き返すのが難しいのでこの辺で終わらせなければ・・・。

この物語に登場するのは

ホビット族、
ドワーフ小人、
エルフ族、
ゴブリン、
最初に指輪を握っていたゴクリ、
竜スマウグ、
巨人のビヨルグ、
オオカミ、
殺人グモ、
間抜けなトロル

これらの多くのキャラクターがトールキンの手によって作られた「荒地のくに」で我先にと出番を待っている。私が出逢ったファンタジーの主人公たちはこれから読む「指輪物語」でも大いに活躍する。

私のように映画で「指輪物語」を観てから本作品を読む場合い、これがどのように偉大な後作に繋がるのかと考えながら読むのもこの物語の魅力の一つである。翻訳が素晴らしく、作品自体に温かみがある。まるでビルボが私たちの目の前で誇らしげに物語っているような気がしてならない。

文庫版は10冊もあるが、すぐに読み終わってしまうだろう。
勉強を怠らないように机に向かって読むとしようか、
いや、やはり空が見えるようにソファーに座って楽しむとしようか。
まだナルニアもゲド戦記もシェイクスピアもドリトル先生も
ディケンズも読み終わっていないというのに。
ああ、だめ予備校生まっしぐらである。

『時の旅人』アリスン・アトリー作、小野章訳  ←Amazonへ

なぜもっと早くに手に取らなかったのだろう。
この作品は名前だけ知っていたが、昔の作品はどこかで避けていたようだ。
要反省。

結果、私の心のベスト10に入る傑作となった。

―簡単なあらずじ―
主人公のペネロピーが夏休みを使って訪ねたおばさんの家で16世紀のイギリスにタイムスリップをし、そこで王位継承問題を目の辺りにする。冒険物語。

注)結局、結末らしきものを書いてしまったのでまだ読んだことがない方はご遠慮願いたい。
自分自身も結末を言われるのは大嫌いなので。
そんなのどうでもいいと言う方だけ、読み流してくだされば嬉しいです。


―今回は「時間のふしぎ」を物語にした類似作と比べて見ていこう思う―


ここで取り上げるのは

『トムは真夜中の庭で』フィリパ・ピアス作、高杉一郎訳  ←Amazonへ

―簡単なあらすじ―
親戚の家に預けられて不満たらたらだったトムであったが、夜中に壁時計が13回目の鐘を鳴らし、昼間はなかった不思議な庭に招待される。そこで出会ったヴィクトリア時代の少女ハティと仲良くなる。ピアスの代表作で児童書の真骨頂として名高い。


『時の旅人』を読んで最も印象的であった点

◆過去に飛んでしまう瞬間が何の前触れもなく、いきなり目の前に現れる。

『トムは真夜中の庭で』以下<トム>
主人公がタイムスリップをするというよりも、夜中の12時と1時の間の時間に入り込むのだが、夜中、加えて言えば古い壁時計が13時を鳴らす奇妙な時間に限る。毎晩親戚が眠ったのを見計らって寝床を飛び出すので素直に彼の行動を追える。

『時の旅人』以下<ペネロピ>
ちょっとした用事で自分の部屋に入ったつもりが、そこはある何世紀も前の貴婦人の寝室であったり、ドアの向こうに長い廊下があり、自分の家だと思って歩いていくと古い格好をした女中に咎められたりと、ばらばらである。あまりにも突然に世界が変わるのでインパクトが強く、彼女だけでなく私たち読者まで驚かせられる。


この二作品には多数の共通点があってそちらも興味深かった。

■「あちら」の世界の時間と彼らのいる世界にはかなりの時間差がある。

トム
「毎晩来ているよ」と友人のハティに言うが、会うのには何ヶ月も間があるという。そこからトムはハティが成長している姿を認めるようになる。

ペネロピ
「おまえさんはいつ来るかわからないもんね」などと言われる。あちらで起こる事件がだんだんと緊迫感に迫っていく過程も早い。

二作品とも休暇中の数週間や、数ヶ月の間に旅をし物語も終わりに近づいてゆく。


■彼らのそばにいるのは家族ではなく親戚

トム・ペネロピ
親戚のおじさん、おばさんがそばにいる。時にいとこや兄弟が近くにいる。両親は遠く離れた所に住み、手紙でやり取りをする。そしてどちらも家に帰ることを拒み、不思議な世界へとのめり込んでゆく。


■「あちら」の世界に入り浸りになると彼らは体調を崩し、精神的に大きな負担を感じる。

トム
最後の数日間、意識が朦朧として精神的に不安定になる。

ペネロピ
自分がどちらの世界にいるのか分からなくなり、自分の行きたい世界はどちらなのか思い悩んでしまい、寝込んでしまう。「あちら」で眠ったと思うと、現実では外に倒れている事件もある。


■現実世界で考えたことを忘れてしまう、また自分や家族を思い出せなくなる。

トム
いろんな事を計画するも、結局は何もかも忘れてハティとの遊びに夢中になる。子どもになってしまう。

ペネロピ
時に、親戚や家族を思い出せなくなり、自分は「あちら」の世界を現実だと考える。


■異世界だが、確かな証拠を見つける。どちらも時間を超えて二人の手元に残っている。

トム
ハティのスケート靴

ペネロピ
スコットランド女王メアリ・スチュアートの肖像画が入ったのペンダント・糸巻き坊や、など


■別れは大人になった瞬間やってくる

トム
大人になって恋をしたハティの視界から消え(少し前から影が薄くなったと言われている)、扉も庭への道を出してはくれない。

ペネロピ
自分が事件の真相を知っているが真相を変えられない葛藤に苦しみ、結果自分が身を引くべきだと感じる。少女が少し大人になる瞬間。


□兄弟愛の影と美しさ(あちらの世界にて)

トム
ハティは親戚の家に預けられた子ども。ビクトリア時代のイギリス女性の立場を強烈に印象付ける。

ペネロピ
スコットランドの女王を愛し、命を掛けて守ろうとする兄とペネロピを温かく見守る弟。どちらも位を持ち、この町の尊いリーダーとなる。

―――――――――――――――――――――――――――――☆

これらの共通点を頭に置きながら物語を振り返ってみると、それぞれの作品の面白さがよく分かると思う。(え?分からない?…チーン

もしこの二冊を読むとしたら、間に他の作品を混ぜないで読むのをおすすめする。
こんなブログの記事など忘れて読むのが一番であるが、ここまで読んでくださった方はごくわずかしかいないだろう。

こんな幼い内容だけれども、幼いなりにも何とか共通点を見出し、どちらの作品にも深い愛情を持って接する事ができた。このたどたどしい、危なっかしい記事が、これから私が児童文学を勉強していく上での良いステップになったと思いたい。

さて、次は何を読むかな。

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自己紹介:
浪人・短大と心も体もふらふらした後にたどり着いた修行の場「翻訳学校」も単なる通過点であり、人生を決める出逢いを果たす幸運に恵まれる。寄り道ばかりしてきたが23歳にしてやっと自分の「夢道」を見つける。

夢は児童文学研究家
UKで英文学を学ぶ

2007年-道のりはこっち→ (=ω=)


・だいぶ図太くなりました

・孤独と個人化が同居中

・分析屋です

・aikoは心の一部 いつもありがとう

・目指せハーマイオニー

・でもやっぱり私はまる子
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