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『時の旅人』アリスン・アトリー作、小野章訳 ←Amazonへ
なぜもっと早くに手に取らなかったのだろう。
この作品は名前だけ知っていたが、昔の作品はどこかで避けていたようだ。
要反省。
結果、私の心のベスト10に入る傑作となった。
―簡単なあらずじ―
主人公のペネロピーが夏休みを使って訪ねたおばさんの家で16世紀のイギリスにタイムスリップをし、そこで王位継承問題を目の辺りにする。冒険物語。
注)結局、結末らしきものを書いてしまったのでまだ読んだことがない方はご遠慮願いたい。
自分自身も結末を言われるのは大嫌いなので。
そんなのどうでもいいと言う方だけ、読み流してくだされば嬉しいです。
―今回は「時間のふしぎ」を物語にした類似作と比べて見ていこう思う―
ここで取り上げるのは
『トムは真夜中の庭で』フィリパ・ピアス作、高杉一郎訳 ←Amazonへ
―簡単なあらすじ―
親戚の家に預けられて不満たらたらだったトムであったが、夜中に壁時計が13回目の鐘を鳴らし、昼間はなかった不思議な庭に招待される。そこで出会ったヴィクトリア時代の少女ハティと仲良くなる。ピアスの代表作で児童書の真骨頂として名高い。
『時の旅人』を読んで最も印象的であった点
◆過去に飛んでしまう瞬間が何の前触れもなく、いきなり目の前に現れる。
『トムは真夜中の庭で』以下<トム>
主人公がタイムスリップをするというよりも、夜中の12時と1時の間の時間に入り込むのだが、夜中、加えて言えば古い壁時計が13時を鳴らす奇妙な時間に限る。毎晩親戚が眠ったのを見計らって寝床を飛び出すので素直に彼の行動を追える。
『時の旅人』以下<ペネロピ>
ちょっとした用事で自分の部屋に入ったつもりが、そこはある何世紀も前の貴婦人の寝室であったり、ドアの向こうに長い廊下があり、自分の家だと思って歩いていくと古い格好をした女中に咎められたりと、ばらばらである。あまりにも突然に世界が変わるのでインパクトが強く、彼女だけでなく私たち読者まで驚かせられる。
この二作品には多数の共通点があってそちらも興味深かった。
■「あちら」の世界の時間と彼らのいる世界にはかなりの時間差がある。
トム
「毎晩来ているよ」と友人のハティに言うが、会うのには何ヶ月も間があるという。そこからトムはハティが成長している姿を認めるようになる。
ペネロピ
「おまえさんはいつ来るかわからないもんね」などと言われる。あちらで起こる事件がだんだんと緊迫感に迫っていく過程も早い。
二作品とも休暇中の数週間や、数ヶ月の間に旅をし物語も終わりに近づいてゆく。
■彼らのそばにいるのは家族ではなく親戚
トム・ペネロピ
親戚のおじさん、おばさんがそばにいる。時にいとこや兄弟が近くにいる。両親は遠く離れた所に住み、手紙でやり取りをする。そしてどちらも家に帰ることを拒み、不思議な世界へとのめり込んでゆく。
■「あちら」の世界に入り浸りになると彼らは体調を崩し、精神的に大きな負担を感じる。
トム
最後の数日間、意識が朦朧として精神的に不安定になる。
ペネロピ
自分がどちらの世界にいるのか分からなくなり、自分の行きたい世界はどちらなのか思い悩んでしまい、寝込んでしまう。「あちら」で眠ったと思うと、現実では外に倒れている事件もある。
■現実世界で考えたことを忘れてしまう、また自分や家族を思い出せなくなる。
トム
いろんな事を計画するも、結局は何もかも忘れてハティとの遊びに夢中になる。子どもになってしまう。
ペネロピ
時に、親戚や家族を思い出せなくなり、自分は「あちら」の世界を現実だと考える。
■異世界だが、確かな証拠を見つける。どちらも時間を超えて二人の手元に残っている。
トム
ハティのスケート靴
ペネロピ
スコットランド女王メアリ・スチュアートの肖像画が入ったのペンダント・糸巻き坊や、など
■別れは大人になった瞬間やってくる
トム
大人になって恋をしたハティの視界から消え(少し前から影が薄くなったと言われている)、扉も庭への道を出してはくれない。
ペネロピ
自分が事件の真相を知っているが真相を変えられない葛藤に苦しみ、結果自分が身を引くべきだと感じる。少女が少し大人になる瞬間。
□兄弟愛の影と美しさ(あちらの世界にて)
トム
ハティは親戚の家に預けられた子ども。ビクトリア時代のイギリス女性の立場を強烈に印象付ける。
ペネロピ
スコットランドの女王を愛し、命を掛けて守ろうとする兄とペネロピを温かく見守る弟。どちらも位を持ち、この町の尊いリーダーとなる。
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これらの共通点を頭に置きながら物語を振り返ってみると、それぞれの作品の面白さがよく分かると思う。(え?分からない?…チーン
もしこの二冊を読むとしたら、間に他の作品を混ぜないで読むのをおすすめする。
こんなブログの記事など忘れて読むのが一番であるが、ここまで読んでくださった方はごくわずかしかいないだろう。
こんな幼い内容だけれども、幼いなりにも何とか共通点を見出し、どちらの作品にも深い愛情を持って接する事ができた。このたどたどしい、危なっかしい記事が、これから私が児童文学を勉強していく上での良いステップになったと思いたい。
さて、次は何を読むかな。
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